設立の背景・経過

原点

平成16年(2004)、京町家の変容や減少に胸を痛めた、東京在住の篤志家の方から、「1軒でも、京町家を残して欲しい」という思いで、貴重なご寄附の申し出をいただきました。このご寄附に背中を押され、平成17年(2005)9月30日、公益財団法人京都市景観・まちづくりセンターは「京町家まちづくりファンド」を設立。この基金は、多くの市民・企業からの寄附金のほか、京都市からの資金拠出、国からの資金助成によって構成されています。

【写真】明治42年(1909)に建築された京町家『京都生活工藝館無名舎 吉田家』。篤志家の方がこちらを訪問され感銘を受けたことが、ご寄附につながりました。「表屋造り」と呼ばれる京町家の極めて典型的な様式をもち、京都に根付いた生活文化を体現しています。(撮影:井上成哉)

減少する京町家と、行政による補助制度の拡充

(撮影:大庭徹建築計画)

伝統的な木造家屋である京町家は、維持費・修繕費がかさむことなどから、手放してしまう所有者の方も多く、取り壊して更地や駐車場になることが後を絶たない状況にあります。

平成20~21年度(2008~2009)に京都市、立命館大学、公益財団法人京都市景観・まちづくりセンターが実施した「京町家まちづくり調査」をもとに、平成28年度(2016)に京都市が実施した「京町家まちづくり調査に関わる追跡調査」では、7年間で約5,600軒の京町家が滅失し、残存している建物のうち空き家が14%を超えることを確認しました。

こうした状況を背景に、京都市は平成29年(2017)11月に『京都市京町家の保全及び継承に関する条例』(通称:京町家条例)を制定。指定京町家の改修補助金・維持修繕補助金などを充実させました。当ファンドの設立当時は、こうした補助金制度はほとんど存在せず、当ファンドも個人住宅への改修助成を多く手がけてきましたが、環境が変化しています。

そこで、令和元年度(2019)以降の当ファンド外観改修助成は、原点に戻り、重点的に『まちづくりの拠点となる京町家』『通り景観の修景』を助成先として選定し、活動を続けています。減り続ける京町家を次の世代に受け継いでいくためには、まだまだ資金が足りません。皆さまからのご寄附を募集しています。

京町家について詳しく知るためのリンク集

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